天花

NHK朝の連続テレビ小説「天花」がもうじき終わる。

きょうはどんな変なことが起こるだろう? という興味だけで とうとう最後まで観てしまいそうだ。とにかくとても変だった。ドラマの内容も登場人物も、みんな変だった。

まず、筋らしい筋がない。主人公の天花はまるで行き当たりばったりに生きているように思える。恋人と結婚するだのしないだの、保育園をやるだのやらないだの、稲を作るだの作らないだのと、その日の気分で目的が二転三転する(ように見える)。日常にいろいろな小さな問題が起こるが、それはたいして大筋に関係がない(初めは伏線かと思っていたが、それっきりであることが多い)。目的に向かって懸命に努力する姿が描かれるわけでもなく だらだらと話は進む。しかし何故か世界は天花を中心に回っていて、すべての問題はいつのまにか解決しており、結果的にはなんでも彼女の思いのままになる。おとぎ話でもあるまいに。これほど感情移入できないヒロインは空前絶後だろう。

案の定、視聴率は低かったらしい。主役を演じた女優の演技の拙さが指摘されているようだが、私は脚本が悪いと思う。たとえどんな名女優が演じたとしても、こんなワケのわからないドラマでは視聴者の共感を得られるわけがない。「みなさまのNHK」を標榜しているのなら、もう少し質の高いドラマを作ってほしいと切に願う。